2019年.令和元年.スマホでフリック入力,否,音声入力の時代.
タイプライターを買いました.
なんで買ったの……?
古めかしいものが好きなので,タイプライターもカッコいいなって昔から憧れてたんですね.小学校の頃にLeroy Anderson のTypewriter の演奏を聴いたのがデカかったかもしれません.でもフィルムカメラと違って,買ったところでなかなか使途が思い浮かばないし,情報も多くないからリサイクルショップで見かけてもあまり近寄りがたい存在でした(個人的に).
ところがつい最近,友人*1と某アニメをイッキ見してひとしきり涙を流して感化されたあと,さらにハードオフを巡っていると,ジャンクの奥底からシャレオツで程度の良さげなタイプライターが出てきたではありませんか.
完全に巡り合わせです.そうとしか思えません.自分でもチョロすぎて嫌になるくらいですが,お持ち帰りさせて頂きました.
なにを買ったの……?
イタリア,オリベッティ(olivetti)社のSTUDIO 45 という機種です.なにより心を惹くのが筐体デザイン.美しい青緑のABS樹脂製ボディの角は丸みを帯びていて,タイプライターの機械っぽさをほとんど感じさせません.
オリベッティ社のタイプライターはValentine という機種が有名かつ人気らしく,いまでもヤフオクを覗くと1万円くらいで取引されたりしています.
Valentain の人気の秘訣はMoMA にも収蔵されるほど革新的だったインダストリアルデザインだそうで,そのデザイナーはエットレ・ソットサス(Ettore Sottsass)という方なのですが,私が手にしたSTUDIO 45 のデザインも同氏によるものだそう.
Valentine より先の1967年に発売されたモデルだそうですが,既に今でも衰えないようなデザインを生み出していたというのが驚きです.
付属品はケースと取説類,そして保証書.ご丁寧に購入店(楽器店)のハンコも捺してあり,調べてみると形態は変えつつも屋号はそのままで営業している様子.かつての時代,舶来の機械を買おうと思う時に楽器店というのはメジャーだったんでしょうか.
簡単なメンテ
さて,衝動的に拾ったはいいものの,いくぶんカビと油臭いのが気になりました.幸いにも機械部分はスムースに動いている様子だったので,今回は下手に機械へは手を入れず,外装を磨き上げる程度にすることにしました.
美しいデザインは見た目だけでなくメンテナンス性にも優れていました.底面に見えるネジ全てと,上面で蝶番の役目をしているネジ2本を外してやるだけで,外装すべてを剥がせます.
40年ぶんの機械油が溜まっています.ネジはパークリ,外装はエタノール*2でとにかく油落とし&カビ除菌を行いました.
2時間も磨けばすっかりピカピカ,近くで嗅がないと油臭さも分からない程度になりました.
インクリボンの交換
続いて問題になったのがインクリボン.乾いてしまって,よっぽど強く叩かないと印字されないような状況でした.
ありがたいことにタイプライター専門店というものが存在し,通販で各規格ごとのリボンを未だに取り扱ってくれています.今回はオリベッティ用の黒/赤リボンを選択.
新品の交換リボンはプラスチックのスプールに巻かれて届きます.幸いなことに,今回のSTUDIO 45 は純正とおぼしき金属スプールが2軸とも残っています.ただ使うだけなら既存の金属スプールは片方だけ残して,届いたままのプラスプールを装填してやればいいのですが,やはり折角なので金属スプールを活かしたい……ということで両端とも巻き直しました.
世界で初めて井澤詩織のしーちゃんねるを鑑賞しながらタイプライターのリボンを巻き直している人間であるという自信がある pic.twitter.com/WS86kn6N0U
— yuki (@_yuki1217_) September 28, 2019
声優番組を鑑賞しながらクルクルと巻き直すことおよそ10分…….
巻き直し完了です.
使ってみる
動画を見て頂くのがおそらく一番早いでしょう.音がもう,最高です.
タイプライターまじでたのしい pic.twitter.com/iRvPSwIb9W
— yuki (@_yuki1217_) September 28, 2019
この字体もこう,なんていうか,最高です.
まあ,具体的に何に使うのかと言われると……あんまり考えてないんですが…….
英語バリバリな方なら原稿に使ったり手紙書いたり用途は広がりそうですね.
絵がバリバリならちょっとしたキャプションを入れたりするのもオシャレかも.
さあ,あなたも今日から自動手記人形に.