あまりこのブログでは触れていませんでしたが、田舎暮らしの相棒として、2003年式のボルボ・V70(285系)に乗っています。
2016年のこの季節に一目惚れから始まって早4年、次の車検をどうするかというタイミングに差し掛かっていたのですが、お別れすることといたしました。
静かなる悲鳴
端的に言えば電装系の不具合が一挙に見つかったためです。
幸いにもCEM(中央コンピュータ)は故障していなかったのですが、お世話になっている専門店さんからすれば、いずれこいつも故障するだろうという見立て。
18年目を迎えようとしている車載コンピュータですから、そろそろ軒並み壊れ始めても、納得ではあります。
これまで不具合らしい不具合もなく、一時期怪しかったATの滑りもATF交換で大きく改善され、走る・曲がる・止まるについては今でも全く申し分のないクルマです。
ただやはり、古い電装品類は音を立てなくても着実に劣化していて、気付かぬうちに悲鳴を発していたんですね。まだ車検が1年残っているとかであれば、だましだまし対症療法で乗っていくという選択肢もありましたが、車検直前のここらが潮時かなあ、という感じです。このタイミングで壊れてくれたことにむしろ感謝すべきかもしれません。
新品でしか置換できないコンピュータを大枚叩いて交換して、結局2年保たなかったら、結構つらいでしょうから……*1。
いいクルマだった
1台の量産車にあまり想いを馳せるのもなんだか気持ち悪い*2ですが、ロクに友達と遊びもせず、ただひたすら週末はこのクルマを転がしていた記憶だらけなので、ああお別れかあ、という空虚な気持ちです。
長距離はメチャクチャ快適だし、荷物は沢山載るし、車中泊だって足を伸ばして寝られるし、ワインディングも適当なファミリーカーに比べたら断然楽しい。
何より顔がいいし*3、
ケツもエロい*4。
はじめてのマイ・カーにしてはいいクルマすぎたかなと思います。車検費用と修理予算の範囲で次のクルマを検討していますが、なかなか選択肢が広がりません。
オタク特有の虚しさ
車検直前に高額修理が判明して、下取りされる価値もないから廃車にするというのは典型的なストーリーだと思いますが、次のオーナーにバトンタッチするでもなく、メカ的に手出しできないほど壊れた訳でもなく、ただ修理費が自分の経済力に(合理的に)見合わないが故に、鉄屑を経て新たなカタチに生まれ変わってもらうということに、ちょっとした虚しさを感じる訳であります。
でもこんな気持ちになるのも、たぶん、憧れの初めてのマイ・カーだったから以上に、惚れ込んで4年間乗り続けられたからなんだろうなあと思います。5,000円で親戚から譲ってもらった軽バンとかだったら、おそらくこんな虚しさはなかったでしょう。
ガキの頃に摺りきれるまで読んだ、田中むねよし先生のボルトアンドナットというカーライフを描いたコミックがあります。あの中に、先生が惚れ込んで買ったシトロエン・BXがぶっ壊れまくって、これからの維持と天秤にかけて泣く泣く廃車を決める、というような話がありました。あんなヒドい目には全く遭ってませんが、心情としてはたぶんそんな感じです。
車検が切れるまであと1ヶ月半、道端で止まってしまわない程度に、よく頑張ってくれたなあと(心の中で)声を掛けながら乗ろうと思います。
*1:それが古いクルマに乗るということであって、輸入車に乗るということでもあります。
*2:ガキの頃、実家のパジェロがドナドナされていく時にギャン泣きして新車のドアトリムにシミを作りました。
*3:日本では全く実用性がないヘッドライトワイパーですが、前期型の”黒目”ヘッドライトにはコレがアクセントになって精悍な印象になりますし、ボディ全体で唯一のメッキ部品であるグリルと主張しすぎないボルボのエンブレムが大人びていながら古さを感じさせない絶妙なフォルムに仕上がっています(オタク特有の早口)
*4:手洗い洗車をしているとテールランプから伸びるプレスラインが手のひらにフィットして謎の多幸感に包まれます(オタク特有の早口)