ないしょのかけいぼ

買い込んだガラクタや燃やしたハイオクの供養塔です

無計画!アイルランド島・マン島を4日間で回った話【移動編】

英国をはじめとするキリスト教圏は4月中旬にイースター休暇があります.2019年は土日を含んで4連休.私はリバプールから北アイルランドアイルランド,そしてマン島と渡り歩いてみました.意外と船の旅に関する日本語の情報って少ないんですよね.ということで,この記事では,島同士の移動についてレポートします.

動機

  • 遠くに行きたい!
  • 船旅がしたい!

→せや!アイルランド島行こか!

行程

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行程を練ったのが出発2日前で,とりあえずフェリーの辻褄を合わせたというような,バカ丸出しの行程です.移動時間そのものが好きなタイプの人間なので,あまり苦にはなりませんでしたが…….

赤線は船便,黒線は陸路です.リバプールまでは鉄道で移動しました.

金曜日:リバプールベルファスト(泊)
土曜日:ベルファスト→ダブリン→ベルファストマン島(フェリー泊)
日曜日:マン島(泊)
月曜日:マン島リバプール

船便の予約

予約はすべてStena Line およびSteam Packet の公式サイトから行いました.Steam Packet の予約システムはたまに繋がりにくいことがあるので,余裕をもっての予約をオススメします.

心配事がひとつ

英国へは研究をするための滞在許可を得て入国しています.この滞在許可はビザではないため,一度イミグレを通過して「出国」すると,再度取り直しになります.取り直せる保障もないので,それは避けたい.英国とアイルランドは共通旅行圏であるといいますが,正直その共通旅行圏とやらの正体がよくわからない.

まあ行ってみれば案外なんとかなるもんじゃね?ということで,出発!

リバプール北アイルランド

リバプールにはアイリッシュ海海上交通ターミナルが集中しています.うち,北アイルランドへの便はStena Line がベルファストまで就航しており,昼夜の1日2便あります.乗船時間はおよそ8時間.直前の予約だったため夜行便は既に売り切れ.昼行便をキャビンなし,£20で利用しました.

チェックイン

Stena Lineのターミナルは,主要都市からの列車が集まるLiverpool Lime St. 駅がある東側ではなく,そこからさらにMersery Line でHamilton Square 駅まで移動し,さらにまた徒歩で20分程度の位置にあります.チェックイン最終時刻は出航の1時間前なので,時間に余裕が作れない場合や荷物が多い場合はタクシー利用が確実です.

カーフェリーですが,ターミナルには徒歩利用者のための動線もしっかり用意されていて親切なつくりの印象を受けました.予約時の名前を伝えると,ボーディングチケットを渡されます.

出航1時間半前になると待合室へのゲートが開きます.ゲートは主に身分証確認と荷物検査が目的の様子でしたが,明らかに一人だけアジア人の私はヒースローのイミグレよろしくいくつかの質問を受けました.渡航目的,現在の滞在場所,滞在期間,滞在期間終了後の予定など.パスポートを片手に口頭説明でパスできましたが,フェリーに乗るだけにしては色々聞かれたのでちょっとビビりました.相手は警察官でしたのでイミグレに関する権限があるのかは不明ですが,英国入国時と同様の入国関連書類を準備した方が万全かと感じました(私はすっかり部屋に置いてきました).

待合室ではキャリーケースなどを預け入れできます.空港でよく見る小さなコンテナトラックにみんな自分で載せていました.30分ほど待つとダブルデッカーバスがやってきて,フェリー内部まで連れて行ってくれます.

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バスの中からフェリーとご対面.

船旅

徒歩乗船の場合,自動車乗船より一足先に乗船できるので,船内のラウンジも好きな場所に陣取ることができます.イースター初日もあり「大混雑でご迷惑をお掛けします」という旨の放送があったものの,終始席数には余裕が見られました.電源席も点在しているので,キャビンを予約しなくても快適でした.船内にはカフェやレストランがあり,値段もまあ普通.電子レンジが備え付けられており,お弁当を温めている人も見受けられました.

リバプールを出航して1時間ほどすると,リバプール湾に浮かぶ巨大洋上風力発電所が見えてきます.日本では馴染みがない設備ですが,こういった景色を見られるのも船旅ならではです.8時間のあいだ,ひたすらにアイリッシュ海を眺めたり昼寝したり,ゆったり流れる海上の時間を楽しみました.

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出港直後は揺れを検知したクルマの盗難警報が大合唱.
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リバプール湾には洋上風力発電施設がありました.日本では馴染みが薄いですが,幻想的でさえあります.

到着

乗船時とは逆で,自動車がすべて下船してから徒歩客のためにバスが迎えにきてくれました.到着から下船までは40分くらい船内で待ちぼうけしていました.

ベルファストのStena Line ターミナルは,これまた市街地から離れています.一応バス停が目の前にはありますが,ターミナルを出た時刻は19:00頃.終バスはとっくに終わっていました.バスがないことは予想していましたが,待機タクシーもマトモになく,結局Uberを呼ぶことに.

Google Map 先生によれば徒歩で1時間もあればベルファスト市街にたどり着けたようです.しかし見慣れぬ街で日没の時間と戦いながら人のいない港を延々と歩き続けるのは流石に不安がありました.£9ほど,安全第一で参りましょう.

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Euro Truck Simulator 2 の世界に迷い込んだかと思いました.

北アイルランド←→アイルランド

実はもともとアイルランド(ダブリン)に行くつもりはありませんでした.先述のように,共通旅行圏とはいえ北アイルランドとは違って完全に英国外であり,万一出国扱いになれば,再度英国に入国できる保証がなかったためです.ところがベルファストのホステルで各種旅行記をググって見ていると,英国本土から直接アイルランドに入る際はパスポートコントロールがあるものの,北アイルランドからの陸路国境越えでは特に確認がなさそうだと知り,「いやもうここまで来て行かないという選択肢はないでしょう」と,急遽予定を変更しました.

陸路での北アイルランド←→アイルランド

ベルファストとダブリンは互いを結ぶバスが頻発しています.最もメジャーな会社はTransLink でしょうか,観光案内所でもこちらの時刻表を渡されました.チケットの購入はオンラインが安く,学生は往復で£18.チケット購入は同時に座席の確保も兼ねているようで,予約時に指定したバス以外は乗車できないようでした.
午前中のベルファスト観光と深夜のマン島行きのため,往路は13時前,復路は20時過ぎとしました.バスは片道2時間ちょっとかかるので,滞在5時間のバカみたいな行程になりました.真似してはなりません.
人生初の陸路での国境越えでしたが,期待通りパスポートコントロールなどは一切なし.国境では路側帯の線が白から黄色に変わり,ヤードポンド法が滅ぼされて制限速度がkm/h表示になりました.

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ダブリンのバスターミナルにはBusáras というアイルランド語の名前がついています.街の標識はアイルランド語と英語の併記で異国情緒があふれます.

北アイルランドマン島

各地からマン島への船便はSteamPacket という会社が一手に担っています.一応,アイルランド島側のターミナルとしてダブリンとベルファストがありますが,ベルファストはかなりオマケ的な存在のようで,イースター期間中のマン島行きは利用した深夜便を含めて2便しかありませんでした.英国方面には双胴の高速船,アイルランド方面へは一般的なフェリーの2艘が就役しています.まあ2艘しかないならそうなりますね.

運賃は学生オファーで往復£39.往復とはいいますが,往路と復路で別々の航路を選択することができました.

チェックイン

さて,出発は日曜日の深夜1時過ぎでしたので,余裕をもって22時にはダブリンからベルファストまで帰ってきましたが,そこで1時間遅延のSMSを受信.もうちょっとダブリンで遊べたなあと思いつつターミナルへ向かいました.

ターミナルはStena Line よりも市街地に近く.タイタニック博物館の近くにあります.しかし道中は幹線道路で人通りがなく,IRA による銃撃テロがロンドンデリーで発生したばかりでしたので,ここでもUber を利用しました.深夜で£7弱.
ターミナルはプレハブに毛が生えたような設備.カウンターのおばちゃんも深夜便かつ遅延ということで,すこぶるダルそうな表情でしたが,予約メールを見せると,「ハッピーイースター!」といってイースターエッグのチョコをくれました.
カウンターを超えると荷物検査.Stena Line でのチェックでちょっとビビり気味になっていたので,どんな質問がされるかと身構えていましたが,ちょっとバックパックを見るだけで終わり.大英博物館の荷物検査のほうが厳しいんちゃうの?という感じでした.
待合室には軽食カウンターがあり,安価ではありましたが,観ているとだいぶお値段なりの雰囲気.2時間ほど待合室のベンチで仮眠をとっていると,ようやく乗船が始まりました.

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SteamPacket は歩いて乗船です.

船旅

£5 を予約時に上乗せしてラウンジを予約していたのですが,どうやら席を指定できるだけで,有料ラウンジというわけではないようでした.Charging Point と書いてある付近の席を予約していたものの,まずコンセントの位置が高すぎて持参のケーブルだと何も充電できないし,そもそもガラ空きで予約する必要はゼロ!損したなあとか思っちゃうところですが,時刻はすでに2時半を回っており,憤る気力も船内を探検する気力もなく,前方の座席に足を放り投げ,ジャケットを頭からかぶって就寝.他の人は毛布持参で床に寝てたりしました.雑魚寝席がなければ自分で作る,こういう姿勢は見習っていきたいところです…….乗船時間はおよそ5時間半でした.

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座席がふかふかだったのが唯一の救い.

到着

1時間の遅延はそのまま1時間の到着時刻の遅れとなり,朝7:30にマン島・ダグラス港へ到着.TTレースなどの大規模イベント時には空港と共に数万人の観光客をさばくダグラスのターミナルは,COSTA や観光案内所を完備しており,リバプールベルファストの各ターミナルよりも過ごしやすいつくりになっていました.

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ギリギリまで寝ていたら最後の下船者になってしまいました.

マン島リバプール

マン島から英国本土へは,北アイルランドからの便と同じくSteam Packet が就航しています.ターミナルはリバプールの他にヘイシャムという北寄りの港町もありますが,鉄道でのアクセスは圧倒的にリバプールがよろしいかと思います.アイルランド側との便とは違い,英国側へは高速フェリーのManannan 号が就航しており,本数もベルファストと比べると多いようです.

チェックイン

出港は15時ちょうど,最終チェックインはその25分前ということでした.イースター連休最終日ということもあり,ベルファスト便とは段違いの乗客の多さ.ベルファストでのチェックインとは異なり,ダグラスの荷物検査はX線装置が導入されていました.

リバプールベルファストのチェックインではわざわざ警察が出張って身分確認をしていたくらいだし,英国本土に渡るこの便も同じようなチェックがあるのでは?と思っていましたが,パスポートの出番はありませんでした.

船旅

Manannan 号にはキャビンはなく,2階建ての乗客用デッキのうち1階にシートがズラリと並び,2階には有料ラウンジがあります.おそらく定員以上の乗客は乗せておらず,席数も足りているはずですが,出航直前にはほぼ満席の様相でした.オープンデッキは船尾にわずかに用意されているだけですが,約40ノットをひねり出す迫力のウォータージェットを眺めることができます.

乗船時間はおよそ3時間半.船内各所にはBBCニュースが常に流れており,またインターネット回線も不安定ではあるものの繋がることには繋がったので,そこまで退屈することはありませんでした.

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客船としての就航から20年ほど経っているようですが,非常に綺麗な船内でした.

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ウォータージェットで瞬く間にマン島を水平線の彼方へ消し去ります.

到着

リバプールのSteam Packet ターミナルは,Mersy Side と呼ばれる,リバプール海事博物館やJames St. 駅にほど近い好立地です.下船して桟橋を渡るとすぐに見慣れたリバプールの海岸通り.Lime St. 駅までは徒歩で15分くらいですが,市街地を通るので治安も悪くなく,また帰りの列車内での軽食を調達するにも便利です.

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ありがとうManannan 号!

まとめ

これから北アイルランドアイルランドマン島を英国から回られる方の参考に,少しでもなると幸いです.

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ベルファスト・ダブリン・マン島弾丸旅行の中身は気が向いたら書こうかと思います.