ないしょのかけいぼ

買い込んだガラクタや燃やしたハイオクの供養塔です

液晶ペンタブレットを買った話

液タブを買いました。

たいした絵心がある訳でもないんですが、「へたっぴは液タブを買ってはいけない」という法律はないので、買ってみました。

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経緯

2018年の初頭に何を思い立ったか板タブ(Wacom CTH-490)を買って絵の練習だのをはじめて、一年経たずiPad 9.7in. (2018) + Apple Pencil + Clip Studio に移行し、下手の横好き*1Twitterに放流したりしていました。

リセールを考えるとそろそろiPadを買い換えた方がいいよな~と思いつつ、ほとんど絵を描く以外にiPadを使っていなかったので、じゃあiPadはもうやめて、売った金で液タブにしてみようか、と。

何を買ったの?

買ったのはXP-Pen Artist 13.3 Pro という製品です。いわゆる中華液タブで、Amazonでの実勢価格は3万円前後です。

ドライバの安定度や発色の品質を考えると、プロ御用達であろうWacom製品の方がよかろうと思います。ところが先立つものがなかったことと、先人たちのレビューを読んで、トーシロにはXP-Penでも十二分だろう、とポチッとしました。

ファーストインプレッション

買って届いてまだ一週間ですが、ゴールデンひきこもりウィークのよい友になっています。ドライバに起因すると思われるペン側スイッチのチャタリング*2や他に使用している液晶モニタとの色の違いなど、細かな気になる点はありますが、趣味レベルの現状で不満はほとんどありません。

ドライバは"怪レい日本語"だったりするのかな~と期待していなかったのですが、全然そんなことなくて、ショートカットキーの設定なんかも割と細かくできるようになっていました*3。期待値が低すぎたというのもあるかも。

iPad 2018 で描いていたときに感じた窮屈さは、iOSのよくわからんファイル管理システムやソフトウェアキーボードによるものだと思っていましたが、おそらく一番は画面サイズですね。たった4インチ程度の差ですがとっても気持ちよく描けます。おかげさまで本業の在宅ワークが捗りません。

あと、立派にFull HD なので、つなぎっぱなしにしておいてもサブモニタとして重宝します。液タブとPCの接続にはHDMI x1 とUSB-A x1 が必要なんですが、適当に転がっていたType-C ハブにそれらを接続して、Type-C 一本にしてからつないでみても正常に動いています*4

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うーん、液タブがあるとなんかめっちゃ絵を描けそうな人のデスクっぽくなりますね。恥ずかしくなってきた。

 

というわけで

猫に小判、豚に真珠、へたっぴに液タブ。せっかくの液タブを腐らせないように、ちょっとずつだけどちゃんと練習しつつ描いていきたいと思います。

オッちょっと上達してんじゃんって思ったら、いいねを押してくれたりするとちょっとやる気につながります。よろしくお願いします。どんなの描いてるかはTwitterをみてくださいね(ここに貼るのがちょっと恥ずかしい)。

*1:正直かなり見苦しい時もあると思うのでフォロワー各位には申し訳ねえと思っています、でもお絵かき用アカウントとか作る気にならなかったので……

*2:PCを再起動するとだいたい直る

*3:順番にキーを押していくタイプのショートカット; クリスタで左右反転[Alt]→[V]→[V]→[H] も設定できた

*4:動作保証はおそらくされてないと思うので、あくまで参考程度に

はじめてのマイ・カーを廃車することにした話

あまりこのブログでは触れていませんでしたが、田舎暮らしの相棒として、2003年式のボルボ・V70(285系)に乗っています。

2016年のこの季節に一目惚れから始まって早4年、次の車検をどうするかというタイミングに差し掛かっていたのですが、お別れすることといたしました。

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静かなる悲鳴

端的に言えば電装系の不具合が一挙に見つかったためです。
幸いにもCEM(中央コンピュータ)は故障していなかったのですが、お世話になっている専門店さんからすれば、いずれこいつも故障するだろうという見立て。
18年目を迎えようとしている車載コンピュータですから、そろそろ軒並み壊れ始めても、納得ではあります。

これまで不具合らしい不具合もなく、一時期怪しかったATの滑りもATF交換で大きく改善され、走る・曲がる・止まるについては今でも全く申し分のないクルマです。

ただやはり、古い電装品類は音を立てなくても着実に劣化していて、気付かぬうちに悲鳴を発していたんですね。まだ車検が1年残っているとかであれば、だましだまし対症療法で乗っていくという選択肢もありましたが、車検直前のここらが潮時かなあ、という感じです。このタイミングで壊れてくれたことにむしろ感謝すべきかもしれません。

新品でしか置換できないコンピュータを大枚叩いて交換して、結局2年保たなかったら、結構つらいでしょうから……*1

いいクルマだった

1台の量産車にあまり想いを馳せるのもなんだか気持ち悪い*2ですが、ロクに友達と遊びもせず、ただひたすら週末はこのクルマを転がしていた記憶だらけなので、ああお別れかあ、という空虚な気持ちです。

長距離はメチャクチャ快適だし、荷物は沢山載るし、車中泊だって足を伸ばして寝られるし、ワインディングも適当なファミリーカーに比べたら断然楽しい。

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何より顔がいいし*3

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ケツもエロい*4

はじめてのマイ・カーにしてはいいクルマすぎたかなと思います。車検費用と修理予算の範囲で次のクルマを検討していますが、なかなか選択肢が広がりません。

オタク特有の虚しさ

車検直前に高額修理が判明して、下取りされる価値もないから廃車にするというのは典型的なストーリーだと思いますが、次のオーナーにバトンタッチするでもなく、メカ的に手出しできないほど壊れた訳でもなく、ただ修理費が自分の経済力に(合理的に)見合わないが故に、鉄屑を経て新たなカタチに生まれ変わってもらうということに、ちょっとした虚しさを感じる訳であります。

でもこんな気持ちになるのも、たぶん、憧れの初めてのマイ・カーだったから以上に、惚れ込んで4年間乗り続けられたからなんだろうなあと思います。5,000円で親戚から譲ってもらった軽バンとかだったら、おそらくこんな虚しさはなかったでしょう。

ガキの頃に摺りきれるまで読んだ、田中むねよし先生のボルトアンドナットというカーライフを描いたコミックがあります。あの中に、先生が惚れ込んで買ったシトロエン・BXがぶっ壊れまくって、これからの維持と天秤にかけて泣く泣く廃車を決める、というような話がありました。あんなヒドい目には全く遭ってませんが、心情としてはたぶんそんな感じです。

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車検が切れるまであと1ヶ月半、道端で止まってしまわない程度に、よく頑張ってくれたなあと(心の中で)声を掛けながら乗ろうと思います。

 

*1:それが古いクルマに乗るということであって、輸入車に乗るということでもあります。

*2:ガキの頃、実家のパジェロがドナドナされていく時にギャン泣きして新車のドアトリムにシミを作りました。

*3:日本では全く実用性がないヘッドライトワイパーですが、前期型の”黒目”ヘッドライトにはコレがアクセントになって精悍な印象になりますし、ボディ全体で唯一のメッキ部品であるグリルと主張しすぎないボルボのエンブレムが大人びていながら古さを感じさせない絶妙なフォルムに仕上がっています(オタク特有の早口)

*4:手洗い洗車をしているとテールランプから伸びるプレスラインが手のひらにフィットして謎の多幸感に包まれます(オタク特有の早口)

Olivetti Valentine を買って物欲に終止符を打とうとした話

もうすぐバレンタインデーですね!皆さんは今年、チョコもらえそうですか?

 

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私はそんな気配がないので、「バレンタイン」そのものを購入しました(支離滅裂)。

伝説:Olivetti Valentine

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しばらく前の記事で、伊Olivetti製のタイプライターをご紹介しました。

30508.hatenablog.com

もともと私は、現代では所有しても意味を成さないような古めかしい機械……使いにくいフィルムカメラ、いまや完全に忘れ去られたPDA、デカすぎて漬け物石にもならない黎明期のパソコンなど……に心ときめいてしまうような人間です。ハードオフで格安で拾えて、整備をした気になれて、視覚・聴覚・触覚で楽しむことができるタイプライターの存在に心深く惹かれるまで、長く時間は掛かりませんでした。

とりわけ大好きになってしまったのがOlivetti製品。デザイン史に詳しくはないですが、現代ではミッドセンチュリーとカテゴライズされる製品群を代表に、有名デザイナーたちが手がけた美しいタイプライターが、Olivettiから世に数多く送り出されました。

エットーレ・ソットサスによるStudio 45もそのうちの一機種ですが、同氏のデザインであり、タイプライターの中で(恐らく)最も有名なものが、このValentineです。

Valentineのデザイン的な素晴らしさ、価値、歴史といったものは既に国内外の多くのWebサイトや書籍で語られ尽くされていると思います。その受け売り的な知識をここでひけらかすのは恥ずかしいだけなので、詳細はそちらにお譲りします。

ただ、ジャンク品2~3,000円程度が相場の機械式タイプライターで、未だに~15,000円程度で取引されていること、MoMAに収蔵されていることなど、表面的な部分からでもなんだかタダモノじゃないなというのは感じて頂けるかと思います。

購入動機

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拾えど拾えど止まらぬタイプライター欲。
なぜかと真面目に考えたとき、その相場価格から手を出せずにいたValentineの存在が浮かびました。

「ちと高いけど、これを手にしてしまえば少しは物欲も落ち着くのでは……?」

丁度、新品時からの付属品のキャリッジ固定治具つきValentine-Sを近所で観測。
こうして、Olivetti共通取説に掲載されている4機種が揃いました。めでたし。

 

こんなんで物欲が収まるならとうの昔にオタクなんてやめてるということに、帰路で気付きました。

色んな角度から眺める

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Valentineのデザインで最も特徴的な部分のひとつがケース。
アタッシェケース的な機構のケースを採用したタイプライターが多い中で、Valentineは「バケツ」型のケースに差し込む機構。本体背面の取っ手で持ち運びも簡単です。

当時のテレビCMの録画が残されていますが、公式でまさに「バケツ」として扱われる有様。それだけ当時のタイプライターとしては奇天烈なデザインだったということが伺えます。

 

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リボンスプールはオレンジ色のプラスチックでデコレーション&カバーされ、よりポップな印象を与えます。
そんなビビッドなABS樹脂の筐体から顔を覗かせる、鈍く光るセグメント部。

堪らんですね。

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フットプリントはStudio 45とほぼ同じ。重さは段違いにValentineの方が軽いです。
現代のPCで言えば、Studio系は15.6型据置ノート、Valentineは13.3型モバイルノートみたいなモンでしょうか。

Valentineでも本機は”S”モデルなので、機構としてはタブ・キー荷重設定が省略されています。でも英文タイプ目的にはほとんど困らない仕様です。

ちょっとした整備

購入時点では「!/+」キーの戻りが悪いという症状がありましたので、解消すべく分解。

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セグメント部へのアクセスには、
①裏面のマイナスネジ4本を外し、
②キーボード手前のバーを外し(六角ネジをラジペン等で;傷つけないように)、
③キーボード上段をすべて押し込み(写真のように)、
④筐体ケースを手前に引き出す
という手順を踏みます。

見てみると、タイプバーと、打鍵時にタイプバーが収まるスキマの金具が干渉していた模様。大きく曲げ直すと却って不調になるので、じわじわとペンチで調整し、タイプバーの関節各所に油*1を吹いて終わり。

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よくアンティークショップで見かけるような、タイプバーが絡まった状態でしばらく放置されていたのでしょうか。タイプバーに負荷が掛かり続け、軸のズレを起こして干渉に至ったのかもと思っています。

整備や清掃等で一時的に持ち上げるならいいですが、ジャンクコーナーなどで見かけたら戻してあげたいものです。

ポップなタイプライターで日々に彩りを

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ということで、Valentineを買ってしまったことを自分の中で正当化するための記事でした。
正直、相場的にメッチャ安いとかいう訳でもなかったのですが、まあ部屋に並べてみると嬉しくなっちゃいましたね。

Studio 45は振動も大きいので、これからはValentine+Project Gutenbergで遊ぼうと思います。もちろん気分でStudioも使いますが。

皆様も、奥深きタイプライターの世界へ……。

*1:シリコンルブスプレーを使用しました。CRC556だとABS樹脂を侵しそう。

タイプライターを買った話

2019年.令和元年.スマホフリック入力,否,音声入力の時代.

タイプライターを買いました.

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なんで買ったの……?

古めかしいものが好きなので,タイプライターもカッコいいなって昔から憧れてたんですね.小学校の頃にLeroy Anderson のTypewriter の演奏を聴いたのがデカかったかもしれません.でもフィルムカメラと違って,買ったところでなかなか使途が思い浮かばないし,情報も多くないからリサイクルショップで見かけてもあまり近寄りがたい存在でした(個人的に).

ところがつい最近,友人*1某アニメをイッキ見してひとしきり涙を流して感化されたあと,さらにハードオフを巡っていると,ジャンクの奥底からシャレオツで程度の良さげなタイプライターが出てきたではありませんか.

完全に巡り合わせです.そうとしか思えません.自分でもチョロすぎて嫌になるくらいですが,お持ち帰りさせて頂きました.

なにを買ったの……?

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イタリア,オリベッティ(olivetti)社のSTUDIO 45 という機種です.なにより心を惹くのが筐体デザイン.美しい青緑のABS樹脂製ボディの角は丸みを帯びていて,タイプライターの機械っぽさをほとんど感じさせません.

オリベッティ社のタイプライターはValentine という機種が有名かつ人気らしく,いまでもヤフオクを覗くと1万円くらいで取引されたりしています.
Valentain の人気の秘訣はMoMA にも収蔵されるほど革新的だったインダストリアルデザインだそうで,そのデザイナーはエットレ・ソットサス(Ettore Sottsass)という方なのですが,私が手にしたSTUDIO 45 のデザインも同氏によるものだそう.
Valentine より先の1967年に発売されたモデルだそうですが,既に今でも衰えないようなデザインを生み出していたというのが驚きです.

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付属品はケースと取説類,そして保証書.ご丁寧に購入店(楽器店)のハンコも捺してあり,調べてみると形態は変えつつも屋号はそのままで営業している様子.かつての時代,舶来の機械を買おうと思う時に楽器店というのはメジャーだったんでしょうか.

簡単なメンテ

さて,衝動的に拾ったはいいものの,いくぶんカビと油臭いのが気になりました.幸いにも機械部分はスムースに動いている様子だったので,今回は下手に機械へは手を入れず,外装を磨き上げる程度にすることにしました.

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美しいデザインは見た目だけでなくメンテナンス性にも優れていました.底面に見えるネジ全てと,上面で蝶番の役目をしているネジ2本を外してやるだけで,外装すべてを剥がせます.

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40年ぶんの機械油が溜まっています.ネジはパークリ,外装はエタノール*2でとにかく油落とし&カビ除菌を行いました.

2時間も磨けばすっかりピカピカ,近くで嗅がないと油臭さも分からない程度になりました.

インクリボンの交換

続いて問題になったのがインクリボン.乾いてしまって,よっぽど強く叩かないと印字されないような状況でした.

ありがたいことにタイプライター専門店というものが存在し,通販で各規格ごとのリボンを未だに取り扱ってくれています.今回はオリベッティ用の黒/赤リボンを選択.

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新品の交換リボンはプラスチックのスプールに巻かれて届きます.幸いなことに,今回のSTUDIO 45 は純正とおぼしき金属スプールが2軸とも残っています.ただ使うだけなら既存の金属スプールは片方だけ残して,届いたままのプラスプールを装填してやればいいのですが,やはり折角なので金属スプールを活かしたい……ということで両端とも巻き直しました.

声優番組を鑑賞しながらクルクルと巻き直すことおよそ10分…….

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巻き直し完了です.

使ってみる

動画を見て頂くのがおそらく一番早いでしょう.音がもう,最高です.

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この字体もこう,なんていうか,最高です.

まあ,具体的に何に使うのかと言われると……あんまり考えてないんですが…….
英語バリバリな方なら原稿に使ったり手紙書いたり用途は広がりそうですね.
絵がバリバリならちょっとしたキャプションを入れたりするのもオシャレかも.

 

さあ,あなたも今日から自動手記人形に.

*1:タイプライターを買ったことを報告したら「バカじゃないのか」と一蹴されました.

*2:本来ABS樹脂には禁忌だそうですが,消毒用で拭く程度なら問題なしでした.