ないしょのかけいぼ

買い込んだガラクタや燃やしたハイオクの供養塔です

D進します

博士後期課程に進学(いわゆるD進)することにしました。

正直、インターネットに書くようなことなのか悩んだのですが、こんなやつもいるんだみたいな感じで誰かの参考になったり、あるいは自分がダメんなりそうなときの復元ポイント的な感じとするために残しておきます。

基本要件

・地方国立の工学研究科

・学部の成績は中の下

電子材料

・オタク

なぜD進

去年の正月までは正直、全くD進するつもりがありませんでした。普通に就活していましたし、コロナが本格化する前に動き出していたので、むしろ割と上手く就活戦線を立ち回っていたと思います。自分で言うのも妙ですが。

そんな折に、先生*1から「D進しないか」と声をかけられたのがキッカケです。D進をもちかけられて、いろいろしばらく考えて、ちょうど一年前の今頃に行きますと返事をしました。

以下はYESの返事をするまでにぼちぼち考えたこと。

研究が好きなのか?

D進について相談したり話したりすると、「研究が好きなのか?」と、どこでも誰でも開口一番に聞かれます。

自分でも時折考えますが、答えはあんまり出ません。

嫌いではないことは確かですが、好きだと言い切る自信もありません。夜遅くまで残って実験作業をすることにさほど苦痛は感じませんが、布団から超出たくない、PCに超向かいたくない気持ちの朝もあります。

ただ「研究なんてもうこりごりだ!修論書いてとっとと出てってやる!」とは思いませんでした。周りを見てると、そういう点では研究を「好き」だと思っている方なのかも。高専時代からずっと同じ分野をやってますし。

研究者になりたいのか?

これもよく聞かれます。答えは「そこまででも……」です。

研究者になりたいからD進というより、研究者にもなれるようにしておきたいというか。
結果的に、自分がやりたい分野において世の中から研究者であることを求められれば研究をするし、設計開発に近いことを求められるのであればそうするし。かといってそれは受動的な思考かというとそのつもりはなくて、そのときに何をやりたいと思っているかは分からないけれども、やりたいことをやれる環境に常にしておきたい、という意思が根底にあっての思考です*2

自分でなにかを作るのは好きなので、そういう仕事をしたいと思ってはいましたが、一生同じ部品を設計し続けるとかそういうのは避けたい。しかし修士卒もイマドキ珍しくない分野ですから、人よりもクリエイティブな職であるためには、資格としての博士号は少なくとも必要になってくるんじゃないか、みたいな気持ちです。
これはたぶん業界によってかなり左右されると思うし、自分自身、井の中の蛙なので、なんとも一概には言えませんが。

就職したくなかったのか?

これもたまに聞かれます。答えはNO。修士出て就職するのもやっぱり王道だと思っています。
というか民間でお仕事をしてみたい気持ちは大きいので、博士を取ったらちゃんと就職したいです。

アカデミアは向いてないだろうなあ……TAもぼちぼち担当しましたが、人に教える、導くというのがさっぱりどういうことか分かりません。

よく言われるのが、博士卒は働き口が少ないというやつ。工学系なので他分野に比べたらマシだと思いますが、そういえば研究室の先輩も苦労していたような、とか、就活で話を聞いた某社は博士卒の採用をほとんどしてなかったな、とか。でもこのあたりの不安は今後どんどん変わっていくだろうし、いま考えても仕方ないかなと思いました。

オタクなので金無限になって湯水のようにお金を使いたいです。だからオタクするには就職した方がよかったでしょうね。
あと田舎でD進すると圧倒的に同輩が減るので社会性がなくなっちゃいそう。それは未だ拭えぬ不安です。

研究室の「雑用係」なんじゃないの?

声かけされる→D進というのはよくある話だそうで、Twitterなんかでは、この声かけは研究室内の奴隷(雑用係)を確保するための罠だとか、決して学生本人のためを思って行われてはいないとか、そういった声がよく(たまに?)見られると思います。

おそらくそれらは本当のエピソードだと思いますし、私も、自分の研究室を信じ切ってその思惑が一切ないと断言することもできません。

それなりのペースで博士を輩出していること、教員陣の指導力と学内での力関係、研究リソース等、そして自分の気持ち・・・・・・をよく自分のなかで咀嚼して、あくまで自己の判断として、研究室を信じることにしました。

あと「なんとしてでも3年で博士号を取らせる(意訳)」と先生が言ってくれたのも結構心強かったです。

家族の理解

はじめ、両親からは「もう楽になったらどうなの?」なんて言われましたが、上に書いてるようなことを伝えたら理解をしてもらえました。大変にありがたい家庭環境だと思います。

「もう楽になったらどうなの?」と言われたのは結構衝撃でもありました。私自身は修士までそれなりに楽しくやってきましたが、中学数学で40点とかを取るトンデモ野郎ぶりを見せつけていた分、然るべき心配をおかけしていたということになります。苦手な数学にまみれて死の淵を彷徨ってるんじゃあないか、と*3

実家との連絡は密に取ろう、と思いました。

ロマン

大学に行けたこと自体が恵まれているというのに、せっかく修士まで来たんだから、行けるところまで行っちゃいたいという気持ち。あと航空券にDr. って記載してもらえるらしいですね。かっこいい。

コロナの功罪

コロナがなかったらあんまりD進について深く考えなかったかもしれません。

イケてる業界の大企業に新卒入社して教育を受けておけば、あとはまあ人生どうにかなるみたいな風潮が工学系にはあるように思えまして、それは今でも正しいと思うんですが、でもコロナで結構いろいろ狂ってしまってるのを思うと、そう悠長なことも言ってられないのかな……と。特に、仕事が自分の苦痛にならないように生きていこうとするならば。

そう考えると、コロナがだいたい落ち着いたような頃合いまでには一通りの研究のやり方を学ばせて頂いておいて、そこからさらに道を選ばせて頂ける、と考えれば、D進するのには丁度いいタイミングなのかもな、とか思わされました。

でもコロナで国内外の学会が全部オンラインになってしまいました。ふざけるな。

また欧州行きたいなって思ってたけど2021年はちょっと厳しいっぽい。ふざけるな。

国内だってライブも旅行も行けない。息が抜けない。ふざけるな。

ということで

のほほんとしたこれまでの学生生活とは一線を画し、かつ会社員生活とも異なる謎の3年間が始まろうとしています。

正直、自分でもD進のことをまだ甘く見ているんじゃないかという不安があり、それは上に羅列したお気持ちの中にも滲み出ているんじゃないかと思います。もしこれを読んだ博士な皆様は、ああこいつは苦労するぞ、と心のなかで一笑に付しながら見守ってくださいますと幸いです。

きっとお友達が少ないことが精神に多大な影響を及ぼす気がしているので、是非私と遊んでください。遊びのお誘いは随時Twitterなどでお待ちしています。

頑張っていこうと思うので是非応援してください。よろしくお願いします。

 

#この1年の変化

 

 

*1:指導教官ではない:声かけてくれた先生についていくことに決め、M2でテーマを変えてだいぶ大変な目に遭いました。

*2:裏返せば具体的な目標が決まっていない。だから就活を先延ばしにしたと思われても言い返しにくい部分があります。

*3:数学はいまでも苦手です。まじでどうにかしないといけない。